2018年11月15日

ショコラ

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製作中の風景ですが、こうして撮ると、甘くて苦くて口溶けのよいお菓子みたい。

あらゆる自然のモチーフを様々にデザインして装いに、住まいに、取り入れてきた日本の文化。

これは氷を抽象的にデザインした文様です。

もうすぐ和装用の装身具に仕上がる予定。
どんなコーディネートが生まれるか、今から楽しみです。

2018年11月10日

箱根でオパール

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しっとり小雨模様の箱根。紅葉が始まっていました。

今回はまっすぐラリック美術館へ。オパールを取り入れた装身具と、オパールセントガラスの作品が見られる展示会が旅の目的です。

ルネ・ラリックが宝飾品デザイナーからガラス製品のデザイナー・経営者へ転向を始めたのは50歳を目前にした頃だそう。

19世紀から20世紀への変わり目は人の暮らしも求められるものも大きく変化し続けた、激動の時代。

時代と生きたデザイナーの、普遍的な魅力をもつ作品に、刺激をたくさんもらった一日でした。

2018年11月02日

エキゾティック モダン

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秋空が爽やか!
庭園美術館の「エキゾティック・モダン」展に出かけました。
1900年代初頭の、パリにおけるエキゾティシズムを多彩なモノで辿る展覧会です。

この日の目当てはジャン・デュナンの漆芸作品。
菅原精造から漆工芸を学び、もともとの専門分野の彫刻・金属工芸と併せて表現の領域を広げたひと。

装飾パネルと大型の屏風が展示されていましたが、どちらもしばらく眺めていたくなる(眺めていました)、素敵な作品でした。
特に装飾パネルの『栗の木』は、庭園美術館の内装のなかで見ることに意味がある感じ。幸せなひとときを過ごすことができます。
隅っこのサインの下に「漆芸家」と描かれたのをみながら、ジャン・デュナンの、邸宅や客船の内装の仕事をもっと知りたいと思いました。

この日は前日にGINZA SIXのアールグロリューで、傷ひとつ塵ひとつ曇りひとつない手のひらサイズの漆芸品を見たばかり。
どちらもそれぞれのスタイルがあって素晴らしいのです。
改めて、漆っていいなと思った2日間でした。

天気が良いので庭園のほうもぐるり回りましたが、紅葉はまだまだ。
仕方がないから迎えに行きます。

2018年09月29日

鎌倉にて


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久しぶりの鎌倉。

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水のある場所は落ち着きます。


今回の目的は 鎌倉歴史文化交流館 で展示中の、中世の漆器を見ること。
水気の多い鎌倉の環境のおかげできれいに遺っていた、何百年も前の「ふだんづかいの器」。黒地に赤の漆絵で、豊富なパターンが描かれています。

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例えばこの松のモチーフ。この表現、面白いです。

他の展示品には唐物の彫漆と、それを模した鎌倉彫もありました。
ふたつ比べると質感の違いがはっきり。漆を重ねたものは透明感と、表面反射だけでない深い艶があって、ふと『陰翳礼讃』の羊羹のくだりを思い出します。

また、この館の常設展は地域の出土品や現存しない重要建造物についても知ることができるので、興味のある方にはお勧めです。

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ついでにぐるりとたくさん散歩して、美味しいものも。
晴天に金木犀の香る、秋らしい良い一日でした。

2018年09月16日

季節の変わりめに

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これは以前買っておいた一冊、ナタリア・ギンズブルグの1962年の本。

どのページを繰っても、いつまでも古びない新鮮なことばが綴られた本は大好き。
そしてその時によって自分の感覚を刺激する部分はさまざまです。

「彼はタリアテッレ、抱擁、サクランボ、赤ワインがお好み」 にお腹を空かせたり。
「天職は人間の、唯一で真の救いであり豊かさである」 に頷いたり。

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某所にて、どうでもいい話をしながらポワールのデザートを待つひととき。
涼しくなって、身体がひと息ついている感じ。

読書と食欲の、秋のはじまり。

2018年08月13日

イサム・ノグチの仕事場

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イサム・ノグチ展を見るために、初台のオペラシティアートギャラリーへ。

これまでにまとまったイサム・ノグチ作品を見たのは1992年の初の回顧展と、数年前の牟礼。
今回は今までと違った作品が気になりました。

北京滞在時代の毛筆ドローイング作品は、線が心地よくてずうっと見ていたい感じ。
筆の運びにスピードが感じられて、「傾く男と少年」なんてまるでコンテンポラリーダンスを見ているよう。

同じく北京時代の石膏彫刻「中国人の少女」にも心惹かれました。
頭が地面と平行な人体彫刻ってあまり見ないです。そこが面白く、モダンに思える作品。

「死すべき運命」も好き。しばらくそばにいました。
避けがたい落下を今この瞬間は持ちこたえているという、緊張感。
そして見る人を緊張させきらない、造形の感じの良さがイサムノグチ的。

写真は撮影可能だった「アーケイック」の一部です。

彼にとって、大理石より硬くて個性的な世界各地の石に挑むことは、地球と交感する行為でもあったそう。
そして活動年表を眺めると、地球が小さく感じられるくらい創作の場が多岐にわたっています。

仕事場は地球。いいな。

2018年08月06日

庭園美術館にて

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ずっと気になっていた、「ブラジル先住民の椅子」展を見てきました。

ボディペイントと共通だという幾何学模様の彩色と、本物の素材感が、不思議にアールデコ様式と調和しています。

広大なアマゾン流域にばらばらに存在する、十数の部族の、手作りの椅子だけが集められた空間。
その空間に自分がいる、それだけでも面白い体験です。

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猿の後ろ姿。
他にも鳥類、バク、ジャガーなど作り手に身近な動物を象った椅子たちは、思わずニンマリしてしまうチャーミングさ。

展示された椅子はすべて無垢材からの削り出しです。
その素材の質のよいことに途中から気づいてまた楽しくなりました。
高級家具のように組織の密な木肌を オイルで丁寧に艶出ししてある座面は、思わず触れたくなります。

単純に造形として楽しいものばかりですが、見ているうちに背景が気になってきます。 誰がどうやって何のために?
新館で上映されている記録映像は、モノの背景を理解する手がかりになります。

「(初めて椅子が出品された)ビエンナーレで現代美術を見て、自分たちの作ってきたものの意味を見直した」とは作り手の話。
民芸品でなく芸術品だと捉え直し、まずは作者や素材や製作年などの記録を残そうと決意したそう。

うまく表現できませんが、これらの作品の良さの本質が損なわれずに作り続けられるといいなと感じました。

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おまけ。
36度超えの真夏日。 美術館向かいの小さなローマにて、大好きなbrioche con gelatoを。

2018年07月08日

上野でタイムトリップ

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細かい作業を一時離れて、太古のエネルギーに触れてきました。
ずっと楽しみにしていた、東京国立博物館 『縄文−1万年の美の鼓動』展です。

火焔型土器が、手の届く距離に林立する贅沢。

具象の動植物モチーフを全く含まない土器たちは、何にも属さない顔をしています。
三次元を自由に使い、左右非対称をはらんで、どこも破綻していない造形。
これを作った人と話をしてみたい・・・


土偶は人体がそれぞれユニークにデフォルメされていて面白かったです。
表面の模様が入れ墨なのかどうかが非常に気になるところ。
装身具は遺っていますが、装身行為は? と興味が尽きません。

またとない展示品の充実ぶりに、よく集まったなぁとドキドキしっぱなしの2時間でした。

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おまけのこちらはこの日、東洋館で見た団扇。骨の形までデザインされた、19-20世紀の朝鮮半島のものです。
朝鮮の団扇は一昨年、ライデンの博物館でまとまった数を見てファンになりました。(あら洒落みたい)

『縄文』展は、9月2日まで上野の東京国立博物館にて。
日本全国からの出土品に囲まれて、タイムマシンにでも乗った気分になります。

大人にも子供にもお勧めです!

2018年06月29日

梅雨明けの日に

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閉館時間間際の庭園。

根津美術館で「はじめての古美術鑑賞 -漆の装飾と技法-」を見てきました。
縄文の漆塗り櫛から明治のもの、地域も一応日本、朝鮮半島と中国、東南アジアを網羅しています。

南宋時代の八角形はいいなあ、カラーグラデの鎗金もいいなあ・・・なんてぶらぶら見ていたら、出会いました!
「百草蒔絵薬箪笥」、飯塚桃葉作で阿波蜂須賀家に伝わった18世紀後半のもの。

これが出てきたら気分が高まって、薬を頂く前に治ってしまいそう。
百の薬草が描かれた蒔絵部分も楽しいですが、彫金の薬入れも見事。 小さなガラス瓶もかわいい。

これひとつでも、見に来た甲斐がありました。
暑さも何も吹き飛ぶ、モノとの出会いがあるととっても得した気分になります。