2019年01月09日

work in progress

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お正月ごろの、制作風景。

筆先の1mmほどを使って、花びらを一枚ずつ繊細なグラデーションに仕立てています。
ルーペを覗き込んだり、少し離してみたり、チェックしながら進みます。

筆跡がそのまま残るから、近道も廻り道もよろしくない。
自分のペースに集中します。

開花予定はおよそ二週間後。
楽しみだわ!

2018年12月27日

忘れえぬ風景

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Bunkamuraでトレチャコフ美術館展を見てきました。
買い集めた西欧絵画のコレクションが主体だと思い込んで、特に関心をもっていなかったのですが、先月東急本店のお客さまからロシア画家の作品ばかりだと伺い、俄然見る気満々に。

ロシアの四季の風景の一部は思ったよりはるかに、心に迫るものがありました。

湿度を感じる森林風景は、作者の表現したいことが痛いほど解り、乾いた大丘陵や帆船のゆく大海原は、ただの室内用風景画に見えます。
結局自分の人生の早い時期になじみのある風景に共感するのかもしれません。
私の場合は六甲山系といったところ。あらゆる季節、時間の森林風景に心当たりがあります。

「芽吹き」「雨の樫林」「静かな湖」が特に気に入って、じっと見入ってしまいました。
あと「楽しいひととき」は描かれた子供の可愛らしさが半端なく、絵の中に飛び込んでムギュッとしたいくらい。数少ない女性画家の作品です。

そうそう、展示室で面白いおじさんを見かけました。
ソファにじっと座ってうっとり中空を眺めているのですが、中空だと思った視線の先には「忘れえぬ女」の眼差しが・・・ 見つめ合い?

久しぶりにしっかり絵画を見ました。楽しかった。
いつかモスクワでカンディンスキーもマレーヴィチも含め、もっといろいろな所蔵品を見てみたいです。

(写真はミュージアムの入り口に佇んでいたロシアのチェブラーシカ)

2018年12月21日

冬の旅

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ミルキーなブルーのレイヤー。
リゾート感漂う台湾の東海岸、この先には先住民が暮らす島があります。
今回は冬の荒天で島行きをあきらめましたが、その代わりに冬ならではの発見がありました。

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扱いかたが難しく、青果市場にあまり出回らないという「釈迦頭」は冬限定の美味しいフルーツ。
初めて頂きましたがこれが絶品。 次の台湾行きもきっと冬にします。


今回の旅の目的のひとつは、台中の国立自然科学博物館。
政府が認定したものだけでも10以上ある台湾先住民族の暮らし、台湾が北限とされるオーストロネシア語族の他の地域の文化、現在の台湾に広く定着している大陸の文化について、その一片に触れることが出来ます。

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「Piupiu」というこの素敵なスカートは、オーストロネシア語族の南限とされる、マオリの伝統衣装。
亜麻の茎の、チューブ状の部分と繊維状に加工して黒く染色した部分とが規則的に並んで、ストライプに。
なんて洗練されたデザイン。



街なかのあちこちに唐突に在る、信仰の場所があまりに凝ったつくりでびっくり。
時々、関羽・関平・周倉の3つの像が並ぶのを見つけて、三国志好きは小さく喜びます。

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旅先での出会いはいつも、また次の旅へと誘ってくれます。

2018年11月15日

ショコラ

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製作中の風景ですが、こうして撮ると、甘くて苦くて口溶けのよいお菓子みたい。

あらゆる自然のモチーフを様々にデザインして装いに、住まいに、取り入れてきた日本の文化。

これは氷を抽象的にデザインした文様です。

もうすぐ和装用の装身具に仕上がる予定。
どんなコーディネートが生まれるか、今から楽しみです。

2018年11月10日

箱根でオパール

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しっとり小雨模様の箱根。紅葉が始まっていました。

今回はまっすぐラリック美術館へ。オパールを取り入れた装身具と、オパールセントガラスの作品が見られる展示会が旅の目的です。

ルネ・ラリックが宝飾品デザイナーからガラス製品のデザイナー・経営者へ転向を始めたのは50歳を目前にした頃だそう。

19世紀から20世紀への変わり目は人の暮らしも求められるものも大きく変化し続けた、激動の時代。

時代と生きたデザイナーの、普遍的な魅力をもつ作品に、刺激をたくさんもらった一日でした。

2018年11月02日

エキゾティック モダン

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秋空が爽やか!
庭園美術館の「エキゾティック・モダン」展に出かけました。
1900年代初頭の、パリにおけるエキゾティシズムを多彩なモノで辿る展覧会です。

この日の目当てはジャン・デュナンの漆芸作品。
菅原精造から漆工芸を学び、もともとの専門分野の彫刻・金属工芸と併せて表現の領域を広げたひと。

装飾パネルと大型の屏風が展示されていましたが、どちらもしばらく眺めていたくなる(眺めていました)、素敵な作品でした。
特に装飾パネルの『栗の木』は、庭園美術館の内装のなかで見ることに意味がある感じ。幸せなひとときを過ごすことができます。
隅っこのサインの下に「漆芸家」と描かれたのをみながら、ジャン・デュナンの、邸宅や客船の内装の仕事をもっと知りたいと思いました。

この日は前日にGINZA SIXのアールグロリューで、傷ひとつ塵ひとつ曇りひとつない手のひらサイズの漆芸品を見たばかり。
どちらもそれぞれのスタイルがあって素晴らしいのです。
改めて、漆っていいなと思った2日間でした。

天気が良いので庭園のほうもぐるり回りましたが、紅葉はまだまだ。
仕方がないから迎えに行きます。

2018年09月29日

鎌倉にて


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久しぶりの鎌倉。

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水のある場所は落ち着きます。


今回の目的は 鎌倉歴史文化交流館 で展示中の、中世の漆器を見ること。
水気の多い鎌倉の環境のおかげできれいに遺っていた、何百年も前の「ふだんづかいの器」。黒地に赤の漆絵で、豊富なパターンが描かれています。

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例えばこの松のモチーフ。この表現、面白いです。

他の展示品には唐物の彫漆と、それを模した鎌倉彫もありました。
ふたつ比べると質感の違いがはっきり。漆を重ねたものは透明感と、表面反射だけでない深い艶があって、ふと『陰翳礼讃』の羊羹のくだりを思い出します。

また、この館の常設展は地域の出土品や現存しない重要建造物についても知ることができるので、興味のある方にはお勧めです。

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ついでにぐるりとたくさん散歩して、美味しいものも。
晴天に金木犀の香る、秋らしい良い一日でした。

2018年09月16日

季節の変わりめに

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これは以前買っておいた一冊、ナタリア・ギンズブルグの1962年の本。

どのページを繰っても、いつまでも古びない新鮮なことばが綴られた本は大好き。
そしてその時によって自分の感覚を刺激する部分はさまざまです。

「彼はタリアテッレ、抱擁、サクランボ、赤ワインがお好み」 にお腹を空かせたり。
「天職は人間の、唯一で真の救いであり豊かさである」 に頷いたり。

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某所にて、どうでもいい話をしながらポワールのデザートを待つひととき。
涼しくなって、身体がひと息ついている感じ。

読書と食欲の、秋のはじまり。

2018年08月13日

イサム・ノグチの仕事場

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イサム・ノグチ展を見るために、初台のオペラシティアートギャラリーへ。

これまでにまとまったイサム・ノグチ作品を見たのは1992年の初の回顧展と、数年前の牟礼。
今回は今までと違った作品が気になりました。

北京滞在時代の毛筆ドローイング作品は、線が心地よくてずうっと見ていたい感じ。
筆の運びにスピードが感じられて、「傾く男と少年」なんてまるでコンテンポラリーダンスを見ているよう。

同じく北京時代の石膏彫刻「中国人の少女」にも心惹かれました。
頭が地面と平行な人体彫刻ってあまり見ないです。そこが面白く、モダンに思える作品。

「死すべき運命」も好き。しばらくそばにいました。
避けがたい落下を今この瞬間は持ちこたえているという、緊張感。
そして見る人を緊張させきらない、造形の感じの良さがイサムノグチ的。

写真は撮影可能だった「アーケイック」の一部です。

彼にとって、大理石より硬くて個性的な世界各地の石に挑むことは、地球と交感する行為でもあったそう。
そして活動年表を眺めると、地球が小さく感じられるくらい創作の場が多岐にわたっています。

仕事場は地球。いいな。