2017年11月20日

誘惑する伝統工芸技術

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すっかり冬空の上野。
いつもお世話になっている方のお勧めで、「フランス人間国宝展」に出かけてきました。

フランスのMaitre d'Art(メトルダール=伝統工芸技術の最高技能者)の手による作品の展示会です。
展示作品がモノであることに閉じずに、人間とコミュニケーションしたがっているように見える、不思議な感覚を味わいました。 メトルダールは、人の暮らしを豊かにする進化を社会から期待されているようです。

伝統工芸つながりで・・・
ちょうどこの日に見ていたメールマガジンで、高級時計ブランドの展示会のお知らせがありました。

アルプスに製造拠点をおくブランドの、展示会のテーマは「Metiers d'Art」(メチエダール=美術手工芸)。
時計宝飾品業界では最高峰の素材に長らく変化がありません。そのため、緻密な手工芸による表現が求められているようです。
damascening(貴金属象嵌)やshakudo(赤銅)の技術が、まるで宝もののように記載されていました。

伝統工芸技術を繋いでゆくには、常にその時代に生きる人を誘惑しなくては・・・と思った一日。

「フランス人間国宝展」は東博の表慶館で26日までです。

2017年11月11日

ディアナ・ダムラウ コンサート

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無数の公演を自宅で楽しめる、恵まれた時代。
手軽に自分の好みを探りあてられるので、出かけてゆく公演を選びやすくなりました。


大好きなディアナ・ダムラウの、サントリーホールでのオペラアリアコンサート。
来日公演は2011年以来の6年ぶりだそうで、こういうのはチケット握りしめて半年待つのも、また楽しい。


アジアツアーのうち日本では東京の1公演のみ。
チケット完売の客席は熱心なファンの密度が高くて、とても温かい雰囲気の一夜でした。


誰もが認める実力をもちながら気取りのない、人柄の良さがにじみ出る人。
観ているほうも自然に笑顔になります。


楽しかった!


2017年11月05日

アイリーン・グレイ 孤高のデザイナー

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この菅原精造について書かれた本を読んだのをきっかけに、興味をもっていたアイリーン・グレイ。
彼女を題材にしたドキュメンタリー映画が公開中なので、観てきました。


万博を機にパリに居た菅原精造から、ラッカー(漆塗)の技法を教わったアイリーン・グレイ。 アール・デコ全盛の時代、彼女は漆塗技法を武器に家具デザイナーとしてスタートしたそう。
さらに、この領域での漆工芸品の捉え方についてちらりと言及されていて、これだけでも観に行った甲斐がありました。


後半はアイリーン・グレイとル・コルビュジエとの確執が延々と語られますが、これは少し退屈でした。
自分の縄張りが侵されることへの畏れと、畏れからくる動物的行動はありふれているし、アイリーンをその場から離れさせたのはきっと彼女の賢さ。


むしろ、もっと彼女が人生の後半をどう過ごしたか知りたかったなと思いました。何かいい本あるかしら。


映画の原題は「Gray Matters」。 観た人が納得するタイトルは好き。
Bunkamuraル・シネマでの上映は11月10日(金)までです。

2017年09月22日

食欲の秋

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サクサク、サクサク。

今日は用件があって銀座もとじさんへ。
帰りに大島紬店で飼育されている蚕を見せていただきました。

昨年は伺った時には既に糸を吐き始めていたので、桑の葉を食べる様子を見るのは初めてかも。
端からきれいにかじって食べ散らかさない、食事のマナーのよい子達です。

旺盛な食欲につられて、こちらまでお腹が空いてきました。

2017年09月14日

Four Seasons of Gimel 展

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ジュエリーの仕事を始めて間もない2000年頃のこと。

勤めていた会社に来ていたコンサルタントの人が言いました。


「ジュエリーの企画に携わっているなら当然ご存知ですよね。

将来オークションで値がつくようになる日本で唯一のジュエリーブランド。」


素直に、自分は何も知らないなと思いながら、ノートにメモした「Gimel」の文字。

今でもよく覚えています。


両手に余る数すら見る機会が少ないのに、顧客から借りた過去の作品を含む500点も見られるという展示会。

最初で最後だなと思って、すぐに見にゆくことにしました。


オーガニックなテイストのジュエリーブランドがいくつもある中で、ギメルの使う素晴らしい素材とそれを最大限見せ切るデザインには、確固としたスタイルがあります。 たくさん見ることで特にそのことが理解できました。

人がひとりで出来ることの無限と有限も。


会場で見られる、芦屋・奥池のアトリエの映像も素敵でした。

春、夏、秋、と四季折々の風景のあと、雪をうっすらまとうグレーの六甲山が何故か、特に懐かしくて。


『Four Seasons of Gimel』展は、名古屋の松坂屋美術館にて17日まで開催中です。

2017年09月04日

京橋の洞窟

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高知の梼原からきた和紙で満たされた、京橋のLIXILギャラリーの一室です。
あれこれ説明はないのですが、和紙の洞窟に篭って光の透ける凹凸を眺めているだけで十分。

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包容力があって、やわらかく、かつ丈夫。 なんだか出来すぎた人のような和紙。
柿渋で染めたキャラメルブラウンの、艶のない和紙の上には、真珠を乗せてもきれいです。

紙を作ったのは、オランダから高知へ移住した方で、拠点の「かみこや」では泊まり込みで紙漉きも体験できる様子。

梼原という場所を調べてみたら、南国土佐のナの字も感じさせない四国カルスト(つまり山の中)に位置します。
これは確かに、日帰りでは、無理。

高知といえば牧野植物園にも行ってみたいな。
もうひとつかふたつ、デスティネーションが出来たら、きっと飛びます。

洞窟は9月26日まで。 展示終了後に紙がどうなるのか、とても気になります。

2017年08月27日

身体に合うジュエリー

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この週末は、大切な人生の先輩・・・マダムのトークサロンに、ゲストとしてお招きいただきました。

サロンでは、顔まわりのパールの効果や、意外と知られていないジュエリーのあれこれについてお話しました。

こういう場所で多いご質問は、昔もらったきりで眠らせたままのパールネックレスについて。
良いものなのに出番がなく、皆さんもったいなく思われているようです。

折角なら、「今」の「自分の身体・スタイル」を最大限に生かしたジュエリーの着け方をしたいもの。

先日ミキモトホールの「THE PEARL NECKLACE」展で見た、服飾研究家 深井晃子さんの写真は素敵でした。
短め三連のパールネックレスと、それに触れるか触れないかの高い位置にブローチ。
小柄で厚みのある身体の女性には、参考になる着け方です。


「THE PEARL NECKLACE」展は28日(明日!)で終了しますが、同じタイトルの写真集が発売されていて、さまざまなパールネックレスの装い方を見ることが出来ます。 眠らせたままのネックレスを活用する、ヒントが何か見つかるかもしれません。

トップ画像は「THE ...」展で私が一番気に入った写真。
撮影が許可されている会場で、ゴージャスなネックレスをそっちのけに撮らせていただいた一枚です。

2017年08月15日

佐倉へ遠足

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こうやって切り取ると、オセアニアのアートのようにも見える。
漆を採取したあとの漆の木です。

暑さが和らいだので、佐倉の国立歴史民俗博物館『URUSHIふしぎ物語−人と漆の12000年史』へ出かけました。

時代でいうと、縄文の漆塗から現代の塗装品まで。
地域でいうと、日本を中心に、(当時の)琉球とアイヌ、アジアの他の地域との関係まで。
日本の漆文化を知るにはとても良い展示会です。

近年分かった、桃山時代に東南アジアからたくさんの漆を輸入していた事実。タイのアユタヤの日本人街のこと。
輸出用の南蛮漆器って実際、どこで誰が作ったの? と新たな疑問が湧いてきました。

こういう展示会は、アジアの中の日本の在り方について考える機会にもなります。
一時の鎖国も何のその、人とモノの交流は太く長くあったことが多分、これからもっと明らかになっていくはず。

流行りのなんとかジャパンとか、ジャパンなんとかがますます、袋小路への道標に思えてきます。


歴博の漆展(長いので省略・・・)は、9月3日まで開催中です。
常設展は子どもたちで賑わっていました。 夏休みの宿題がんばれ!

2017年08月12日

松濤美術館にて

先日、『世界の絞り』展で面白いなと思って見ていた、インドの絞りによるストライプ模様。
こんなに早く再会できるとは。

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高い天井から、たくさんのターバン用モスリンが風に揺れる様は圧巻。

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ミニアチュールで着装画も確認、と。

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カシミールのペイズリー柄織物やら、極薄の白モスリンに白糸刺繍の、繊細さにため息。
ほかにも細やかなカンタ、木版染め、輸出用のあれこれなど。
家庭の手仕事から献上物クラスまで、インド亜大陸の底力が見えるようなコレクション展示でした。

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これは染めるための木版。 もちろん木版専門の職人によるもの。
道具なのにただこれだけで美しい。

『畠中光享コレクション インドに咲く染と織の華』展は渋谷区松濤美術館にて9月24日まで。
素晴らしいことに、全ての展示品が撮影可能です。