2017年09月04日

京橋の洞窟

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高知の梼原からきた和紙で満たされた、京橋のLIXILギャラリーの一室です。
あれこれ説明はないのですが、和紙の洞窟に篭って光の透ける凹凸を眺めているだけで十分。

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包容力があって、やわらかく、かつ丈夫。 なんだか出来すぎた人のような和紙。
柿渋で染めたキャラメルブラウンの、艶のない和紙の上には、真珠を乗せてもきれいです。

紙を作ったのは、オランダから高知へ移住した方で、拠点の「かみこや」では泊まり込みで紙漉きも体験できる様子。

梼原という場所を調べてみたら、南国土佐のナの字も感じさせない四国カルスト(つまり山の中)に位置します。
これは確かに、日帰りでは、無理。

高知といえば牧野植物園にも行ってみたいな。
もうひとつかふたつ、デスティネーションが出来たら、きっと飛びます。

洞窟は9月26日まで。 展示終了後に紙がどうなるのか、とても気になります。

2017年08月27日

身体に合うジュエリー

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この週末は、大切な人生の先輩・・・マダムのトークサロンに、ゲストとしてお招きいただきました。

サロンでは、顔まわりのパールの効果や、意外と知られていないジュエリーのあれこれについてお話しました。

こういう場所で多いご質問は、昔もらったきりで眠らせたままのパールネックレスについて。
良いものなのに出番がなく、皆さんもったいなく思われているようです。

折角なら、「今」の「自分の身体・スタイル」を最大限に生かしたジュエリーの着け方をしたいもの。

先日ミキモトホールの「THE PEARL NECKLACE」展で見た、服飾研究家 深井晃子さんの写真は素敵でした。
短め三連のパールネックレスと、それに触れるか触れないかの高い位置にブローチ。
小柄で厚みのある身体の女性には、参考になる着け方です。


「THE PEARL NECKLACE」展は28日(明日!)で終了しますが、同じタイトルの写真集が発売されていて、さまざまなパールネックレスの装い方を見ることが出来ます。 眠らせたままのネックレスを活用する、ヒントが何か見つかるかもしれません。

トップ画像は「THE ...」展で私が一番気に入った写真。
撮影が許可されている会場で、ゴージャスなネックレスをそっちのけに撮らせていただいた一枚です。

2017年08月15日

佐倉へ遠足

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こうやって切り取ると、オセアニアのアートのようにも見える。
漆を採取したあとの漆の木です。

暑さが和らいだので、佐倉の国立歴史民俗博物館『URUSHIふしぎ物語−人と漆の12000年史』へ出かけました。

時代でいうと、縄文の漆塗から現代の塗装品まで。
地域でいうと、日本を中心に、(当時の)琉球とアイヌ、アジアの他の地域との関係まで。
日本の漆文化を知るにはとても良い展示会です。

近年分かった、桃山時代に東南アジアからたくさんの漆を輸入していた事実。タイのアユタヤの日本人街のこと。
輸出用の南蛮漆器って実際、どこで誰が作ったの? と新たな疑問が湧いてきました。

こういう展示会は、アジアの中の日本の在り方について考える機会にもなります。
一時の鎖国も何のその、人とモノの交流は太く長くあったことが多分、これからもっと明らかになっていくはず。

流行りのなんとかジャパンとか、ジャパンなんとかがますます、袋小路への道標に思えてきます。


歴博の漆展(長いので省略・・・)は、9月3日まで開催中です。
常設展は子どもたちで賑わっていました。 夏休みの宿題がんばれ!

2017年08月12日

松濤美術館にて

先日、『世界の絞り』展で面白いなと思って見ていた、インドの絞りによるストライプ模様。
こんなに早く再会できるとは。

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高い天井から、たくさんのターバン用モスリンが風に揺れる様は圧巻。

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ミニアチュールで着装画も確認、と。

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カシミールのペイズリー柄織物やら、極薄の白モスリンに白糸刺繍の、繊細さにため息。
ほかにも細やかなカンタ、木版染め、輸出用のあれこれなど。
家庭の手仕事から献上物クラスまで、インド亜大陸の底力が見えるようなコレクション展示でした。

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これは染めるための木版。 もちろん木版専門の職人によるもの。
道具なのにただこれだけで美しい。

『畠中光享コレクション インドに咲く染と織の華』展は渋谷区松濤美術館にて9月24日まで。
素晴らしいことに、全ての展示品が撮影可能です。

2017年08月07日

世界の絞り 絞りの世界

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日本の絞り、世界の絞りが一堂に。
文化学園服飾博物館で「世界の絞り」展を見てきました。

絞りの魅力はデザイン(設計)を詰められないことで生まれる、何かのような気がします。
何だろう・・・ 偶然がつくる無垢さ?
日本の「柳絞り」なんて、風に揺れてひとときも同じではない柳に、うまくなぞらえたなと思います。


一方、偶然性を緻密な手仕事で負かすような、超絶技巧的なものもいろいろありました。

日本代表は総鹿の子でしょうか。
その膨大な手間からくる稀少価値により、何度も廃れそうになっては富裕層が求め、復活した歴史があるようです。

インド代表のマイクロ鹿の子絞りには笑うしかない・・・絞りひとつの大きさ、2mmですって!
さすが、芥子粒のようなパールに穴を開けたり、1mmほどのブリリアントカットダイヤモンドを研磨したりと、くらくらするような細かい手仕事のあるところ。


そして徹底的に大らかなアフリカのものにも惹かれます。

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こちらは数年前にうちの子になった、ナイジェリアのアディレ。
もともと「アディレ」が現地語で「タイ・ダイ」の意味だそうなので、このキャッサバ防染の藍染も、昔は絞染めで作られていたのでしょうか。

世界中にさまざまな文化があるように見えて、根っこは同じようにも見えて、面白い展示会でした。
会期は9月4日までです。

2017年08月02日

南へ

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20年ぶりの沖縄。

いつかまとまった数の琉球漆器を体系的に見たい、と思っていたのですが、ちょうど良い展示会があったので台風の合間に飛んできました。

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今回の沖縄のメインは那覇の浦添市美術館、素敵な建物です。
展示会は琉球漆芸の歴史と技術がひととおり俯瞰できる、充実した内容でした。

会場内は基本的に撮影可能です。

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絣模様を背景に芭蕉の葉を配したこの箱は、テクニックとテロワールとの調和が心地よく、素敵。

ずっと正体が分からずモヤモヤしていた堆錦のことも少し自分なりの解釈ができ、別の日には地元の作家の方にお話を伺う機会にも恵まれて、収穫の多い旅になりました。 

夕暮れの首里城、蝉の喚くガジュマル、どれも鮮烈な記憶だけど、これも忘れられない。

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これが終わってほしくない、このままずーっと食べ続けていたいと思ったのは、クアラルンプールのドリアン屋台以来かも。


話は戻って、浦添市美術館の 「技あり!琉球漆器 Part2」 展は、2017年9月10日(日)までです。 暑いです。

2017年07月29日

アーティスト

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暑い日の夕方、国立新美術館のジャコメッティ展を見に行きました。

本物の探求家(アーティスト)である本人が、興味の対象です。
美術商でない私にとっては、細長い彫刻や的確なタブローは、探求の人生の途中で結晶したおまけみたいなもの!

さらりと見終わって一番心に残ったのはジャコメッティと矢内原のツーショット写真。
驚くほど佇まいの似たふたりの親交や、アネットとふたりの関係は、人の本質のある部分をみるよう。

一番おもしろいアートは人間の生きる様だわ、と改めて思いました。

2017年07月17日

箱・筥・筺

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どこもかしこも緑が濃い、(限りなく猛暑日に近い)真夏日。

サントリー美術館へ「神の宝の玉手箱」展を見に行きました。
「箱」でなく、「筥」や「筺」だと納められた物や空間に神秘性が宿る気がします。漢字っておもしろい。

会場は、こんなに重文・国宝率の高い展示会ってあったかしら?という充実ぶりです。

修復品と復元品の両方が見られるのは面白かった。
復元は修復よりある意味で難しい仕事ではないかと思います。作り手の何かが出てしまう。出るんじゃなくて超えないと納得してもらえない上に、違っちゃいけない。

秋野鹿蒔絵手箱の模造品は、眺めているだけで幸せになります。
図案も素敵だし、LEDかと思うような鮮烈な光を放つ夜光貝も不思議で美しくて、子供みたいに興奮します。

あと木画蒔絵菊花文透冠棚の寄木細工はすごかった。
手間や技術をすごさとして見せずに、すっきり洗練されているところが好きです。
元の持ち主(注文主)が松平不昧公という説明に、なんとなく納得。

会期終了までに滑り込めてよかった!

2017年07月12日

漆絵のこと

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気づいたら、気になっていた展示会のいくつかが、終了間近。

練馬区立美術館の 「漆の画家 太齋春夫展」へ出かけました。

戦前に特許をとったというモザイクや絵塗膜は、今となっては美的なものも含めあまり価値を感じられないのですが、
漆絵がとても良かったです。

どの絵を眺めても、風土と素材がしっくり調和した心地よさを感じます。
「東尋坊」や「南方の男」には特に惹かれました。

漆の性質上ついてまわるのが色系統の狭さですが、そこを足りないと感じさせない表現力。
むしろ漆ならではの質感の豊かさが味わい深く、見飽きることがありません。 漆絵はアジアの住まいに合うな、と思いました。

遠出になりましたが行って、見て、良かった。


写真は、間違って貼っちゃった画像ではありません。
練馬区立美術館前で、すっくと勇ましく看板を支えるクマです。

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こちらは帰りに撮った別の角度なのですが、この肩のあたりに癒やされるのは私だけ?